理学療法士が年収1,000万を稼ぐことはできるのか?
「充実した暮らしがしたい」「子供にしっかりとした教育を受けさせたい」などの気持ちがある方には気になるトピックではないでしょうか。
まず最初に、ひとつ言えることを発表します。
「雇われPT」では、年収1,000万を稼ぐことはできません。99%無理。これが結論です。
お金を稼ぎたい人は、自分でビジネスを立ち上げた方がいいです。
しかし、ここで注意して欲しいのは「雇われPT」では難しいという部分です。もしこれが「独立して」だとか「副業と合わせて」となると話が変わります。ネット・SNSの発展により、昔よりも独立などのチャンスは多い状況です。
そこで今回は、「これからのPTが1,000万を稼ぐ」為の選択肢を4つ紹介します。
また、1,000万には届かないかもしれないけど「確実に収入アップする方法」も5つ紹介しますので参考にして下さい。
これからのPTが年収1,000万を稼ぐ方法4選
ここからは「これからのPTがどうにかして1,000万円」を稼ぐ為の方法を紹介します。
PTが1,000万円稼ぐ方法4選
副業と合わせて1,000万稼ぐ
本業とは別に「副業」を持つことで、合計年収1,000万円を目指す。これはかなり大変です。
仮に雇われPTとしての収入を400万円とします。残り600万円を副業で稼ぐ必要があります。そうなると、目標達成の可能性がある副業は限られてきます。
例えば下記のような副業だと、規模次第では目標達成できるかもしれません。
年600万の収入が狙える副業例
- ブログ
- YouTube・SNSでの情報発信
- オンラインコーチ・講師
副業で年収600万円を狙うには、相手(お客さん)が複数になるビジネスじゃないと難しいです。「1対N」のサービスですね。
ちなみに僕もブロガーですが「副業ブログで年収600万なら可能性はあるな」とリアルば想像はできます。メチャクチャ時間もかかるし、大変なのも予想できますが、不可能ではないですね。
PTの副業については、別の記事でも解説していますので参考にして下さい。
情報発信で1,000万稼ぐ
情報発信で稼ぐと聞いて、真っ先に浮かぶのはYouTube。
例えばPTのYou Tuberだと「オガトレさん」が良い例です。確実に年収1,000万円以上は稼いでいると思われます。
そしてオガトレさんほど大きな規模でなくても、SNSなどである程度のフォロワーがいれば、そこから収入を得ることは可能です。
情報発信で稼ぐ場合は、軌道に乗ったら収入はトントンと増えていきます。ユーザーの性質や、自分が得意なことなどを加味して、複数のプラットフォームを検討しましょう。
- Voicyなどの音声メディア
- 月額課金のプレミアリスナーや、差し入れが設定できる
- note
- 無料記事とは別に有料記事も投稿可能。Amazonの商品は広告収入も得られる。
- ブログ
- 鉄板の情報発信。ノウハウも多く転がっている。クリック型の広告収入や、アフィリエイトが収入源。
- SNSから商品を売る
- 自分で作った商品を、SNS経由で販売。
この他に、言語聴覚士の「寺田奈々」先生も、とても上手に情報発信されているので参考になります。
小児STの知識を活かし、TwitterだけでなくVoicy(ラジオ)などで情報発信されています。
「ことばの発達」に関する有益な情報を発信されているので、フォロワーさんは子育てママさんが中心。オリジナル教材の「コトリドリル」なども人気の商品です。
上記の例はSTさんですが「身近な多職種の例をPTに応用できないか?」 などと考えるのも大事だと思います。
\ 小児分野の発信が参考になる/
独立開業して1,000万稼ぐ
独立開業して経営者になれば、年収1,000万円はグッと現実味を増します。
そして実は、PTは開業に有利な職種です。
- 事業で失敗しても職場復帰できる
- 訪看パートなど、時給の良いダブルワークがある
- 専門性を活かした開業が出来る
まず「国家資格がある」ということで、開業へのハードルはかなり下がります。仮に事業がうまくいかなくても、また臨床の現場に戻ればいいですもんね。一般企業勤めている人の場合、「再就職できないかも」などといった不安がブレーキになります。
再就職への不安が少ないのは、独立に有利な条件ですね。
さらに、専門性を活かした開業が出来るのもかなりのアドバンテージ。
実際、下記のようなパターンで、専門性を活かした開業をするPTさんは増える一方です。
- ストレッチ店の経営
- 整体院の経営
- インソール会社の経営
- デイサービスなどの経営
もっと言うと、ダブルワークとしての開業もしやすいのがPTです。
例えば、訪問看護ステーションのパート勤務などは時給が高めなことが多いですよね。なので、「パートで最低限の生活費を稼ぎながら、空いた時間で開業もする」という働き方も十分可能。
こうして考えると、PTって実はかなり自由度が高い職種ですよね。
PT開業の実例については、別記事でも詳しく解説しているので、そちらを参考にして下さい。
海外進出して1,000万稼ぐ
実はアメリカの理学療法士の年収は、日本と比べてかなり高いです。
なんと中央値の年収が8,500ドル。日本円に換算すると年収1,100万円ほどNPTE(National Physical Therapy Exam)という試験に合格しなければなりませんが、開業権もあり人気の仕事です。
ただし、日本人がアメリカのPT資格を取得するには、ゼロから学び治す必要があります。学費もかなり高額なので、ハードルは高いです。学費も高い分、独立した場合のリターンも大きい。それがアメリカです。
今後日本の経済は縮小していくと思われます。長い目でみたとき、学費まで加味しても「アメリカでPTやったほうがプラスになる」人もいるでしょう。
アメリカでPTになるには?
- アメリカの大学を卒業後に3年間の理学療法士養成大学院に通う必要がある
- 一般教養の大学と博士課程の大学を各3年、計3年のプログラムを有するところもある
- 私立だと年間350万ほどの学費が必要。
参考:APTA「Becoming a PT」
※2022年7月換算:1ドル=135円
1000万には届かなくとも、確実に収入アップする方法
ここまでの内容を振り返ると、PTの知識を生かして年収1,000万を目指すのは不可能ではないといえます。
しかし、独立開業や情報発信などは、なかなかにハードルが高いのも事実。
ここからは、年収1,000万には届かなくても、確実に収入をアップに繋がる方法を紹介します。
PTが確実に収入アップできる方法
- パート勤務を掛け持ちする
- 訪問看護ステーションへ転職する
- 教員になる
- ライター・記事監修をする
- セミナーや講演を行う
パート勤務を掛け持ちする
パートの掛け持ちは、PTが年収アップする方法として最も一般的で確実です。
僕が働いている訪問看護ステーションにも、週一回だけパート勤務に来ているPTさんがいます。
ウチの場合、1日働けば、15,000~20,000円程度の収入になるので、多ければ1月8万円。年間96万円の収入になります。
職場が副業OKかなどの兼ね合いもありますし、自分の休みを削る行為ですが、確実に収入はアップします。
パート先は高給与が多い訪問看護ステーションがおすすめ。
リハ職パート勤務のメリット・デメリットについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
訪問看護ステーションへ転職する
収入アップ目的で転職するPTは、訪問看護ステーションに転職する人が多いです。
病院などと比べると、年収・待遇が良いことが多いのが理由です。
管理職でなくても年収400万〜貰える職場も多いです。PTOT人材バンクなどの転職エージェントを経由して、年収50万〜アップというような実例も多数。
※訪看の給料が高い理由など、詳しくはこちらの記事で解説しています。
教員になる
養成校の教員になると、臨床勤務と比べて年収アップがする可能性が高いです。
しかし、元教員のPTさんいわく「収入は上がるけど、激務でキツイ」というのが本音とのこと。
収入アップすることには間違い無いですが、適している人は少ないかもしれません。
専門校の教員 > 訪問看護ステーション勤務(役職なし) > 病院・老健 など
ライター・記事監修をする
医療の知識を生かして、ライター業を行えば、その分確実に収入アップします。
例えば「OGメディック」というサイトは、PTを始め多くのコメディカルライターを抱えている例です。こういったサイトのお抱えライターになると、安定して収入を得ることができます。
また、未経験の人がライターの仕事を始める場合、最初のステップとしてクラウドソーシングサービスから仕事を受注する方法が一般的です。ライター業に興味がある人はランサーズやクラウドワークスといったサービスに登録してみましょう。
セミナーや講演を行う
セミナーや講演の依頼を受ければ、そのぶんだけ確実に収入はアップします。そして、一度しっかりとしたフォーマットを作ってしまえば「場所を変えて同じ内容を繰り返せる」のも良いところですね。
自分達でセミナーを始めてもいいですが、実は国の支援を受けて開催できるセミナーなどもあります。知人PTも、それで結構なお小遣い稼ぎをしていました。
例えば、全国にある「介護労働安定センター」は厚生労働省が支援する組織。ここを介してセミナーを行うと「謝礼金」という形で報酬が貰えます。有料講演・無料講演など、複数のパターンがあるようなので、気になる方は住んでいる地域の「介護労働安定センター」に問い合わせてみるといいかもしれません。
▼介護労働安定センター
雇われPTの平均年収も把握しよう
「どうやって1,000万円を稼ぐか」を考える為に、PTの現実的な給与も把握しておきましょう。
まず、PTの平均年収は411万円です。
日本全体の平均年収 | 436万円 |
理学療法士の平均年収 | 411万円 |
医療・福祉分野の平均年収 | 401万円 |
日本全体の平均よりは低くて、医療・福祉分野の中では高め。しかし、実際はもっと低い年収の方も多いですよね。僕も病院新卒時の年収は330万程度でした。
参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和2年
参考:国税庁「民間給与実態統計調査結果」令和元年分
雇われPTの最高年収は650万程度?
では、「雇われPT」の最高年収はいくら位なのでしょうか。
ズバリ、雇われPTの最高年収は650万円程度と思われます。
これはコメディカル専門の転職エージェント「マイナビコメディカル」の担当者が目にしたことがある最高額です。2010年位〜10年間位での求人とのことです。
正直、PTの待遇は年々厳しいものになっているので、今後この額を上回る求人は出ないでしょう。
- 年収650万円
- 訪問看護ステーションの管理職
参考:リハツバメ「2022年版:失敗しないリハ転職の進め方:給与待遇に関する質問」
年収アップを狙った転職も検討するべき
年収アップが目的に職場を変えるなら、訪問看護ステーションへの転職がオススメです。
訪看は高待遇な求人が多い傾向にあるからです。しかし、数年前のピーク時と比べると訪問看護ステーションの「高給与傾向」は落ち着き傾向にあります。下記の表を見て下さい。
「訪問看護ステーション」求人の年収変化
2018年位のピーク時 | 年収450万〜500万弱での募集も多かった |
2022年 | 年収400万代前半くらいがほとんど(東京の訪問看護ステーションで) ※別途残業などは加味される場合あり |
高待遇が落ち着いてきたのは、訪問の現場に人材が増えてきたことも要因。年収アップを狙う場合、 訪問看護ステーションへの転職は早めに実行した方が良さそうです。
転職活動に不安がある人は、まずエージェントに相談するべき
転職はしたいけど、まず何をすればいいか分からない…
転職活動をどうやって始めるか迷うときは、まず転職エージェントに登録することがオススメです。
リハ転職のプロに相談することで、効率よく転職活動を進められるからです。しかも僕ら求職者側は、利用無料。
ただし、上手に活用しないと「 興味のない求人をゴリ押しされて終わった」 と言う事にもなりかねません。メリット・デメリットなどきちんと理解してから登録しましょう。
リハ転職エージェントの選び方や、利用するときのコツについては下記の別記事で詳しく解説しています。
転職エージェントは、登録したからといって「絶対にそこから転職しないといけない」という訳ではありません。まずは相談だけでOKです。
実際に僕も転職活動をしたとき、まず転職エージェントに相談しました。もともと病院への転職を考えていたのですが、エージェントに相談するうちに考えが変わって、訪問リハで働くことにしました。視野が広がったんです。
ちなみに、最終的な職場は自分で見つけたハローワーク求人に決めています。それでOKです。
これからのPTは広い視野を持つべき
以上、今回は「PTが年収1,000万を目指す方法」について検討しました。
とりあえず「雇われPT」ではほぼ不可能。そして正直なところ、PTの待遇は今後も下がり続ける可能性が高いです。
でも、悪いことばかりじゃありません。専門知識がある理学療法士は、一般的なサラリーマンなどよりもずっと「稼ぐ方法」を模索しやすいです。
このブログでは、今後もリハ職が「あらゆる方法で自由に働く」為の情報を発信していきます。
参考になると嬉しいです。
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