
訪問STのツバメです。
ST新卒2年目の早々に、最初の病院(回復期)を辞めました。
その後「訪問看護ステーション」へ転職したのですが、僕の場合「病院勤務を辞めてよかった」です。
ハッキリ言って後悔はゼロ。
そこで、今回は「僕に病院勤務が合わなかった理由」を解説します。
・STツバメに「病院勤務が合わなかった」理由
・職場を変えて不満は改善されているか
結論:病院勤務での不満点は、訪看に職場を変えてほぼ解決した


まず、病院は特殊な組織です。
一般企業の経験から言うと「堅実」「保守的」「融通がきかない」というイメージ。



もちろん、いい点もあります。
リハをする上での「基本」はしっかり学べると思います。
病院勤務への不満点と、職場変更で解決したこと
僕の場合、職場を変えることで、不満のほとんどが解決しました。早めに病院を離れて正解だったと感じています。
病院勤務での不満点 | 職場変更で解決したか |
---|---|
①:ST科の立場が低い | 解決 |
②:サービス残業が当たり前 | 解決 |
③:無難なリハになりがちだった | 解決 |
④:意味の感じられない勉強会・ミーティングが多い | 解決 |
⑤:上司・先輩STのようになりたいとは思えなかった | なんとも言えない |
不満点①:ST課の立場が低い


看護部からの高圧的な態度
「看護からSTが下に見られてる」というのがウチの病院でした。
無理な時間に呼び出されたり、怒鳴られたり、まぁ単純にパワハラですね。
食形態や介助指導が無視されるパターンもあって、チーム医療の意味がわからなくなりましたね。



マンパワーが足りないとか、そんな話と違います。ただ高圧的でした。
業務的にPT・OTと同じ単位数は厳しい。でもそれを求められる
- 教材作成
- 評価の集計
- 担当者数が多い
- VE・VFの準備
- 食事評価
病院STの業務って、PT・OTさんと比べて「準備にかかる時間」が多いですよね。



え、このスケジュール物理的に無理じゃない?
そんなスケジュールを経験した病院STさんも多いはず。ほんと、ご苦労さまです…。
特にリハ科のトップがPTだと、どうしてもST科への理解が乏しくなりがちだと思います。



就業時間内に収まらない業務はサービス残業になりがちですよね。
ドクターに電話連絡すらできない


僕のいた病院では、ドクターへの電話連絡は禁止されていました。「失礼にあたる」らしいです。意味がわかりません。これはちょっと特殊な例だと思います。
もちろん、都合よく主治医に出くわすとは限りません。確認がとれないことだけが理由で、食形態アップが翌週に持ち越すこともザラでしたね。



意味不明な病院ルールで、患者さんに「しわ寄せ」が行くのが我慢できませんでした。
ウチの訪看は、僕が入るまでは「看護やPT・OT」が嚥下指導もしていました。その状況があったからか、STの専門性を頼りにされていると感じます。当然、しっかりと意見を交換できるので働きやすいです。
不満点②:サービス残業が当たり前


PT・OTと比べて、STは評価や教材作成に割かれる時間が多いです。
失語や高次脳は憧れの分野でしたが、負担が大きすぎるとも感じました。



時給換算すると恐ろしいことになります。
失語・高次脳機能の評価を取ったら残業
なるべく評価日を分散させるようにしてましたが、新患が重なると難しいですよね。
この「評価を集計する時間」が業務時間内に考慮されていないのが不満でした。
教材作成を頑張るほど残業
用意されてるプリント課題などはあっても、やはり「その人にあわせた」課題作成が必要になりますよね。
当然のように、この作業時間もスケジュールに加味されていません。



真面目な人ほどアレコレ考えて、サービス残業する羽目に。
今の訪看では個人にタブレット端末を導入済み。移動の空き時間にカルテ記入など出来るので、常勤スタッフも18時台には退勤できてます。月末は書類関係でちょっと忙しそうですが。
ちなみに、僕のブログでは「嚥下体操プリント」なども作ってます。業務の時短になると嬉しいです。




不満点③:前の病院の「闇」な部分が許せなかった
次に、僕がどうしても許せなかった、前の病院のシステム・経営上の闇について解説します。
定時にタイムカードだけは切らされる


前の病院には、上記のルールがありました。退勤後に電子カルテを書くと、残業していた証拠になるからです。ちなみに、記入が間に合わなかったカルテはメモで残しておいて、翌朝の始業時間前に更新します。
残業代を出さないためのルール。まぎれもないブラック企業です。
実際に働いてたときは感覚がマヒしてたんですけど、普通に労働基準法に引っかかります。
PT・OTはリハ時間を「かぶせて」時短していた





…同じ単位数なのに、なんでPT・OTのみんなは早く帰れてるんだろう?
そのマジックはリハ時間の「かぶせ」でした。
例えば「AさんとBさんのリハを、同時にやる」わけですね。エルゴ漕いでもらってる間に、他の人に介入とか定番ですね。
もちろん、記録する介入時間は都合よく改ざんされます。闇すぎますよね。
しかもSTだけは確実に個別リハなので、スケジュールがギリギリ。それでいて同じ単位数を求められます。
「この感覚の職場で働くの嫌だなぁ」と感じました。
不満点④:無難なリハになりがちだった


正直、患者さんのQOLが上がれば訓練は「なんでもアリ」だと思います。
僕は、その人に合わせた方法を考えるのが好きです。だけど、時間・精神的な余裕がないと、どうしても無難なリハを「こなす」感じになりがちでした。
注意障害はとりあえずキャンセレーション
前の病院では、残念ながら「しっかりと訓練立案する余裕がない」STが多かったです。
とりあえず「キャンセレーションとか計算課題を印刷しとけ」みたいな風潮がありました。目的があるならいいんです。「とりあえず」な場面が多すぎると罪悪感を覚えます。
楽器を使った歌唱訓練を止められた


時間が無いなりに、訓練の工夫はしたいものです。
全失語の方で、歌唱訓練が有効だったケース。これは絶対効果的だと感じました。
なので「ギターの演奏に合わせて歌唱訓練」をしたかったのですが、上司に相談すると止められてしまいました…。
理由は「ギターを置く場所がないし、盗難される」というもの。



早い話、「目立つことはしないで」という感じでした。保守的なんです。
必要性が低い「机上課題」を繰り返していた
ぶっちゃけます。
訓練で計算プリントをやっていて、ふとこの方(ご高齢)は、今後の人生で「2桁の掛け算を高速で解く必要はないんじゃないか」とか「これは何を目標にした訓練なんだ」と思うことが多々ありました。
「訓練するのための訓練になっちゃってる」という言葉を聞いたことありませんか? 「なんのために」訓練をしているのか、目的がない状態。まさにそんな感じです。
なんというか、必要性の低いベース能力のアップよりも、少しでも「退院後に繋がる」訓練をしたかったんですよね。
でも先輩からそんな課題が申し送られてきます。そして僕も、時間に余裕がなくて同じことをしていました。



「考えたい」でも「時間がない」のジレンマでした。
病院リハと訪問リハ、最大の違いは「決定権の所在」だと思います。
訪問では、最終的な決定権が利用者側にあります。例えば、「誤嚥しながらでも、常食を食べて最後を迎える」という選択肢もあるんです。病院じゃ難しいです、システム上仕方ないです。
その人の本当のニーズを踏まえた上で、どうサポートするか。そういう方が僕には合ってたました。
不満点⑤:重要でない勉強会・ミーティングが多い


聞くだけの全体勉強会が多い
毎週、業務開始前にリハ科全体の勉強会がありました。内容としては「スタッフの発表練習」的な意味合いが強め。
POS合同でやるので、それぞれの専門分野では全く理解できない発表も。正直、半分くらいのスタッフは聞いてないように見えました。
無駄なカンファレンスが多すぎる
いや、カンファは必要でしょ。そうです、必要です。
でも正直「今日は僕いなくていいよね?」という事が結構ありました。議題によりますよね。



「この時間でカルテ書きたい…」と思いながらカンファに出てることもが多かったです。
そもそも、受け持ち担当の数にもギャップがあるんですよ。PT・OTは5人程度、STは7〜10人という感じ。
不満点⑥:上司・先輩のようになりたいと思えなかった


これは「感覚的なもの」かもしれませんが、書いておきます。
5年後、10年後の自分を想像するのに一番簡単な方法は「先輩、上司を見ること」だと思います。
僕からみた上司達は、病院の規則に縛られた「単位製造マシーン」に近かったです。



正直、上司や先輩を見て「こうなりたくは…ないかも」と思ったんですね。
後悔は全く無し。「病院ST」を辞めてよかった
以上、僕に病院勤務が合わなかった理由でした。
病院は教育体制がしっかりしていることが多いですし、先輩セラピストも多いです。病院で働くメリットはたくさんあると思います。
ただ、人には向き不向きがあって…僕には「病院ST」は合いませんでした。そして、訪看の方が合ってました。



ちょっと愚痴っぽくなっちゃいましたが、STの仕事自体は好きなんです。
こんな僕でも、今の職場では楽しく働けているので、心から転職したよかったと思っています。
「ST転職の効率的な進め方」については下記の記事を参考にして下さい。


病院勤務を抜け出したい人には、転職エージェント利用がおすすめ



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※下記の別記事でニーズ別の「転職エージェント選の選び方」などを詳しく解説しています。


退職って、終わりじゃなくて「始まり」にもなりますからね。次の職場はより良い場所を選べることが多いんです。
僕が前にTwitterでアンケートしたときも、7割位の人が「転職して環境は良くなった」と回答してました。
補足:体調不良は赤信号。体のサインは見逃さないでほしい
最後にひとつだけ補足です。体調・精神に異常ある場合だけは、早期に退職を検討するべきです。
実は、僕には病院勤務のストレスで体調を崩した経験があります。完全に心が病みました。
今になって思うのは、「あのとき無理してたら、ST自体辞めてたかも」ということ。



実際、ストレスが原因で「ST自体を辞めた」同期もいます。みなさんにも、それだけは避けて欲しいです。
僕が体験したストレス性の体調不良などはこの記事にまとめてます!


みなさんが、めちゃくちゃ勉強して、苦労してせっかく取得したST国家資格です。きっとあなたに合う職場があるはずです。
全STが「いい状態」で働けることを願っています。
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