こんにちは!訪問STのツバメです。
今回の内容は「STが悩みやすい」ポイントについてです。
訪看のST部門をひとりで立ち上げて、そこから5年くらいやってきた僕の目線で解説していきます。
- 多くの言語聴覚士が悩みやすいこと
- 悩みやすいことへの対策
下記は先日の僕のツイートです。
まさにこれで病む…。休みの日も熱発に怯えてます。
嚥下のプレッシャーわかります。
食形態上げてまもない休日、家にいても熱発してないか頭からなかなか離れない日もあります。
ツイートに対して、STさんからの共感が非常に多かったです!
みんな、似たような悩みを抱えているんですね。
では、その悩みを解決するには、どうしたらいいんでしょうか。
先に言える結論としては、STの仕事の悩みを1人での解決は難しいと思います。周囲に対してSTの仕事を理解してもらうことや、相談できる相手がいることが大事です。
言語聴覚士の悩み3選
前述のとおり、STの多くが抱える悩みは下記の3つです。
多くのSTが抱える、共通の悩み
- 嚥下のプレッシャーが高すぎる
- 仕事内容を理解されづらい
- 訓練・臨床に自信が持てない
ここからは「3つの悩み」についての深堀りと、それぞれへの対策を解説していきます。
①:嚥下のプレッシャーが高すぎてつらい
Twitterのコメントでも共感が多かったのが、嚥下へのプレッシャー。
担当の患者さんの熱発で「誤嚥してた…?」と、ヒヤヒヤした経験のある方は非常に多いハズ。
施設によっては、嚥下の評価はドクターから丸投げされることもありますよね。
嚥下の分野は「責任が割にあってない」とさえ思います。
不安定な要素も多いです
- 覚醒・体調やコンディションの変化
- 不顕性誤嚥(夜間など)
- 環境の変化
他職種:「STなら誤嚥をカンペキに防げるんでしょ」
↓
実際のST:「いや、正直わからない部分もあります…。」
上記の「認識のギャップ」が大きいほど、嚥下のプレッシャーは大きくなります。
対策1:「STでも誤嚥はカンペキに防げない」ことを周知させる
嚥下の評価って正直かなり難しいですよね。
対象者のその日の体調など、不安定な要素も多いです。
- 対象者のコンディション
- 介助者のスキル
- 食事形態のバラつき
- 食事をする環境
- 病状の変動
僕が前いた病院には、熱発があると「STのせいで肺炎になった」と言う看護師がいました。そのくせ、僕らSTが申し送る介助法などは、かなりの頻度で無視されています。
それに、熱発って誤嚥以外でも生じる可能性はありますからね。尿路感染とか。それで、結局原因は特定できないけど「STが誤嚥させたんだろ」みたいな扱いを受けるのはしんどいです。
つまり「他職種の理解がない職場」で嚥下領域を担当するのはかなり大変。
もし以下の2点に対して「他職種の理解が低い」なら、環境を改善しないといけません。
他職種の理解が欲しいポイント
- STの評価にも完璧ではない
- 他職種の理解・協力がないとSTは力を発揮できない
正直、働きやすい環境を作るのって管理者の仕事です。でももし、管理者に期待できないなら「どうにか自分で動く」か「別の職場を探す」の2択になりますね。
合わない職場は早めに離れたほうがいいと思います(経験上)
対策2:やっぱり常に勉強はしておく
結局は少しずつでも勉強を続けることが、もっとも確実に「嚥下領域で自信を持つ方法」です。
前述の「リハノメ 」や、各種勉強会などに参加して、知識をアップデートするのも大事。
嚥下は養成校で習う技術だけでは、難しすぎる領域だとも思います。
嚥下のプレッシャーはかなり高いです。少しでも自信が持てるように、臨床向けの知識を学んでおきましょう。
▼公式サイトはこちら
PT.OT.STのための総合オンラインセミナー『リハノメ』
②:訓練・臨床に自信が持てなくてつらい
リハビリをやっていて、この訓練…意味あるのかな?
なんて心配になることも多いはずです。
STの訓練は、「歩けた! 動いた!」というような、明快なものではないからです。
しっかりと自分のリハ分析して、改善・アップデートしていかないといけません。
臨床に自信を持つためには、継続した学習は必須です。
対策1:オンラインセミナーに登録する(リハノメなど)
いま、一番手軽な方法がwebセミナーです。
別記事でも何個か紹介してますが、僕はリハノメ
月額制で講義動画が見放題のセミナーです。料金はは契約プランによって変動しますが、月額2,000~3,000円位です。
講義のクオリティから考えると、かなりコスパは高いと思います。
臨床に活かすことを前提にした講義が多いので、1〜3年目の人とかは、特に学べることが多いはず。
PT・OTさん向けの動画でも参考になるものが多いです。
「リハノメ を実際に利用した感想」はこの記事で解説しています。
対策2:通常の勉強会・セミナーに参加する
「勉強会の案内」は多くの施設にきますよね。
今はコロナの関係で、オンラインが主流かもしれませんが。
経験からいうと、自信がない分野は「有料でも早めに勉強会に参加したほうが楽」です。座学だけではなく、なるべく「実技」があるものがいいでしょう。
勉強会参加のコツ
ここで1個だけ、僕なりの「勉強会参加のコツ」を解説します。
勉強会参加のコツ。それは座学でも実技でも「必ず挙手して質問する」ことです。
リスクは「恥をかく(かも)」くらいしか無いのに、学んだことが頭に残る確率が飛躍的にアップします。
僕は「もったいない精神」も手伝って、勉強会に参加した際は必ず質問します。実際、自分が質問したことは、ほぼ忘れないですね。エピソード記憶になるので。
対策3:同級生に連絡をとって相談する
- 評価どうしてる?
- どんな訓練してる?
- 吸引とかしてる?
職場によって「常識が全く違ったりする」ので、とても参考になります。
よそでは当たり前のことが、目からウロコの情報だったりします。「価値観」にも結構差があるんです。
施設ごとの価値観の違い
例:「ギターや楽器を使った訓練」
同じ訓練でも、場所によって常識は変わります。
「自分の考えが受入れられる場所もある」という事を知らなかったら、もっと悩んでいたと思います。
対策4:Twitterで情報収集や相談をする
「タメになる情報」を発信しているSTさんはたくさんいます。
「言語聴覚士」で検索して、気になる人と「いいね」や「コメント」を通じて交流しましょう。DM(ダイレクトメール)を送ってもいいと思います。
※なるべく相手が答えやすい、具体的な質問を心がけましょう。
要点をまとめて相談しよう
- 自分の状況
- 具体的な質問
(失語で〇〇をやっているか、職場で〇〇という決まりありますか? ナド)
ただ、学術的な質問をしまくるのは、正直あんまりオススメしないです。文面のやりとりだけでは、取り違いも多くなるので。あくまで参考にするスタンスで。
僕のとこには「転職や訪問リハについての相談」が多いです。
③:仕事を理解されなくてつらい
PT・OTとSTを並べたとき、やっぱりSTって浮きますよね。
専門性が強すぎるんですよ。養成校のプログラムからして、かけ離れすぎです。「音声記号」や「フォルマントがどうとか」なんて、他からしたら超マニアックです。
そのくせ、病院や施設に入ったらまるっきちリハ科の一員です。
やはりリハの主軸はPT・OTです。マイノリティである以上、STは「こんな仕事だよ!」「ここが強みだよ!」とアピールする必要はあります。
対策1:人目につく場所でもリハをする
人間って「よく知らないもの」は恐れたり、嫌いになりやすい性質があります。
そして、個室にこもりっぱなしのSTは「よく知らないもの」になりやすいです。
他職種からの疑問
- STって個室で何してるの?
- ベッドサイドで何してるの?
- よくわからない仕事だな?
上記のように思ってる他職種は多いです。
見えないことが多いと「なんか、よーわからん仕事。」になりやすいですよね。なので、可能な訓練はラウンジなど「人目につく場所」で実施するのもアリです。
STはついつい個室にこもりがちですが、周囲から「こういう訓練やってるのね」と認知されるのも大事。
他職種以上に、存在をアピールしましょう。マイノリティである自覚が必要です。
「食わず嫌い」なんて「知らんから嫌い」の典型ですよね。
人は「知らない」ものに苦手意識を持ちやすい実例
「知らない=嫌い」となりやすい実例をひとつ紹介します。
例えばクラウドファンディングというシステムを、日本でいち早くとりいれたのはキングコング西野さんです。
西野さんがクラウドファンディングを始めた当時は、システムの知名度が低かったため「詐欺だ」「怪しい」などとかなり批判されていました。
しかし、今では国が推進するシステムになっていますよね。みんな「よくわからんコトに嫌悪感を抱いていただけ」という良い例です。
参考:国土交通省「クラウドファンディング活用型まちづくりファンド支援業務」
【中田×宮迫】WinWinWin
西野さんが当時のクラファン批判について語っています。
対策2:可能なら写真や動画を残す
訓練の様子や、実施内容を残すもの思います。
チームの人とリハ内容を共有できれば、STの仕事をより理解してもらえます。
僕は訪問リハなのですが、電子カルテにタブレットで撮った「訓練中の写真」をかなり登録してます。
「やっていること」が他職種に伝わりやすいからです。
※もちろん、個人情報は配慮した上で行う必要があります。施設の規則に従いましょう。
他にも色々ある。STさんの悩みを紹介
今回紹介した3つ意外にも、結構ST特有の悩みってあると思います。
僕のTwitterに寄せられたものなどを抜粋して紹介します。
人数が少ないので、一人が抱える業務量が半端ないです。
「座学と現場のギャップ」「思っていたST像との違い」なども病む原因になっていそうです。
熱が出たら、全部誤嚥を疑われます。病棟だけでなくPTからも。
他にも熱の原因はたくさんありますし、めちゃくちゃ気をつけてやってるのに…
みなさん、やはり悩みは抱えていますね…!
体調不良になるほどに辛い職場は離れましょう
STの仕事は正直つらいことも多いです。そして、真面目な人ほど「合わない職場」で頑張りすぎて体を壊す傾向にあります。
ここで一点だけ、声を大にして言いたいことがあります。
もしも体調に異常があるなら「退職・転職」や「休職」を早急に検討して下さい! と言うことです。
どんな仕事でも、あなたの体より大事なものはありません。実は僕も、体調を崩して休職・退職した経験があります。
合わない職場は合いません。自分が離れるしかないのです。
僕が経験してしまった、ストレス性の体調不良については、別記事で詳しく解説しています。
退職する際に考えるべき2つのこと
もし「職場をやめよう」と決断した場合、すぐに考えるべきことがあります。
それは下記の2つ。
- 退職を切り出すタイミング
- 退職後のプラン
特に、退職を切り出すタイミングには注意が必要です。 申し出をしたからといって、 すぐに退職できるとは限らないからです。
また、退職後のプランも出来る限り立てましょう。 そもそも、STを続けますか? やめますか?
一度、真っ白な状態から考えてみるといいと思います。 逆に言うと「 しばらくは何もしない」 と決めるのも立派なプランニングです。
仕事を「辞めるべきタイミング」や「退職後のプラン」ついては下記の記事で詳しく解説しています。
言語聴覚士の仕事がつらい時、ひとりで抱え込まない!
冒頭にも書きましたが、言語聴覚士の「悩みの大半」は共通しています。
先輩や同僚、同級生など頼れる人と繋がっておくことが大切です。
また、かのアドラーも言ってるように「全ての悩みは対人関係の悩み」だとも思います。
仕事に自信が持てないと思っていたけど、「職場の人間関係がよくなかっただけ」なんて場合も多いです。
どうしても仕事が辛かったら、「職場を変える」ことでの解決を目指しましょう。
STは、まだまだ需要がある仕事。
まずは合う場所を見つけて「そこに合うような自分」に成長するのが理想ですね。
悩みが多い仕事なだけに、環境は超重要。
頑張っていきましょう!