今回は近年のPT転職について「トレンド情報」についての記事です。
結論から言うと、どうもこの数年がPT転職の最重要期になるような印象が拭えません。最近のPT転職市場の動きや、すでに知れ渡ったデータなどから考えると、そうなってしまうんです。
どうしてそう思うのか、そしてどういう行動をとるべきかについて解説します。
PTが供給過多になる目安は2026年
上記のグラフは国発表のデータで、PTの需要共有をバランスを予想したもの。
グラフを見てわかる通り、どの想定でも遅くとも2026年にはPTが供給過多ゾーンに入るんです。2040年には1.5倍もの供給過多になる予定のPTですが、そのスタート地点は2026年ごろと言えるでしょう。
参考:厚生労働省「理学療法士・作業療法士の需給推計について」(平成31年)
PTにとってこの1〜2年での転職はとても重要
前述のデータから推測すると「2026年以降」からはPTの需要が下がり、転職も困難になるかもしれません。
「転職」=「職場というクジを引き直せるチャンス」です。そのチャンスがあと1回なのか、2回なのか、大きな分かれ所となるのが2024年からの数年です。この時期、早めに転職をした人は「もう一回転職できる」かもしれません。でもこれが2026年以降になると「辞めたくても次の職場が見つからない」という状況になる可能性が高くなるんです。
転職チャンスが減るのは困りますね。
最近のPT転職者の傾向
前述の通り、転職を考えているPTさんは、早めに行動した方が良い時代になっています。
では、最近のPTのみなさんは転職理由には、どのようなトレンドがあるのでしょうか?
世相の変化や、診療の報酬の変化と共にみていきましょう。
副業可能な職場を検討する人が増加
給料が上がりにくいという特徴があるPTの間では「副業をする人」が増えています。その為、副業ができない職場から、副業が可能な職場へと転職する人が増えているようです。
副収入を得ることは、経済的な安定だけでなく、キャリアの多様化やスキルアップにも繋がります。
特に、自身のスキル活かせる副業を求める理学療法士が多いです。副業の内容も、訪看などでのパート勤務、リハビリに関連した商品の開発補助や、オンラインでの健康指導など、多岐にわたる選択肢が増えています。
一般企業などでもリモートワークが普及したりして、働き方の大きな変化がある時代。PTの転職活動においても、副業を前提とした働き方ができる職場かどうかなど、職場の柔軟性は大きな判断基準の一つになっています。
人間関係に起因した転職が減少傾向(コロナによるもの)
新型コロナウイルスの流行がもたらした働き方の変化は、理学療法士の転職市場にも大きな影響を与えています。
実は、人間関係に起因する転職が減少しているようなのです。これは、飲み会などの文化が減り、職場内でのストレスや人間関係の悩みが軽減されたことが一因と考えられます。
もちろん、全ての職場でこのような変化が見られるわけではありませんが、今後のキャリアを考えたとき、人間関係の良好な環境を維持することの重要性が再認識されています。
PT求人のトレンド
転職に興味がある人は、理学療法士の最新求人トレンドにも注目しましょう。
コロナウイルスの影響で一気に冷え込んだ求人市場ですが、現在は徐々に回復傾向にあります。特に注目したいのは、小児領域での求人増加です。理学療法士としてキャリアを積んでいくうえで、これらの情報は見逃せません。
コロナで激減した求人数は回復傾向
コロナパンデミックの影響で、多くの業界同様、理学療法士(PT)向けの求人数も一時的に減少していました。しかし、2023年頃から徐々に回復しています。
一時期は新卒や転職希望者にとって厳しい状況が続きましたが、現在は多くの医療機関やリハビリ施設で新たなPTの採用が活発化しています。
小児求人が増加
近年、小児領域での理学療法士の求人が増加しています。
これは、正確にはリハ職の「放課後デイ等求人が増えている」と言ったほうがいいかもしれません。2021年の報酬改定で小児分野にリハビリ職の加算が新設されたことが大きな要因です。
これに伴い、放課後等デイサービスの求人が増加しました。小児部門に興味があるPTにとって大きなチャンスです。
小児分野で働きたかったけど、昔は求人が少なくて…という方は結構多いように思えます。そういう方は転職チャンスですね。
参考:令和3年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容(厚生労働省資料)
年収アップ狙いでは、やはり訪問看護ステーションが強い
給与アップするなら「訪問看護ステーションに転職!」
上記は、ここ数年のリハ転職のトレンドのひとつ。病院などと比べ、高待遇が多いです。
訪看であれば、転職での年収アップはまだ手堅いと言えます。
例えば、東京の訪看に行けば年収500万超えの職場は確実にあります。理由として、そもそも東京23区内は介護保険の報酬自体が高いといった構造的な優位性もあります。
訪看の高待遇はピークを超えた?
とはいえ、訪看の待遇は数年前のピーク時と比べると落ち着いてきているのが現状です。
ボーナスタイムは終わりつつあるように思えます。
2022年での訪問看護ステーションの求人相場
- 東京の訪問看護ステーションで年収400万代前半くらいが相場?
- ピーク時(4年位前)は年収450万〜400万後半での募集も多かった
「昔のPTは給料が高かった」「昔は訪看で給料が高かった」という感じで、旨味のある条件や場所はどんどん変化していきますね。
それでもまだ年収600万超えがあるのが訪看
訪看の高待遇は落ち着き傾向、でもまだ夢があります。以下のツイートを見てください。
横浜の訪問看護ステーション代表の方のツイートです。なんとリハ職の年収が620万円から。驚きの金額です。2023年時点でこのような実例もあるので、給与アップ目的の転職先に、まだまだ訪看リハは有力な候補と言えます。
600万超えはさすがに驚き!
転職のスケジュールについて
2024年〜の数年は、転職を考えている理学療法士のとっては動きどき。
では、実際にどのようなスケジュールで転職活動を進めるべきなのでしょうか。そのあたりを見ていきましょう。
まずは事前準備に時間をかけるべき
2024年以降の転職活動について、まずひとつ言えることは「事前準備に時間をかけるべき」ということです。
今後、PTは飽和状態になります。もしかすると、ここが最後の転職チャンスになる人もいるでしょう。転職で失敗しない為にも、一番時間をかけるべきなのは事前準備です。
転職活動でいうと「転職先のイメージを固める」「達成したい条件を決める」「希望の転職領域の職務内容を調べる」などが事前準備にあたります。応募に踏み切る前の段階、ここに時間をかけるべきです。
そもそも理学療法士の転職活動は長期化しやすい
実はリハ職は、そもそも転職活動が長期化しやすい職種です。これは、実際に離職するまでの引き継ぎなどが多いことも関係しているでしょう。
入職先の決定時期も年々前倒し傾向で、半年〜8ヶ月以上前には次の職場を決める人が30%以上もいます。
一般企業や、看護師など他の職種と比べても、リハ職は転職活動の開始時期が「早くて」「長い」傾向にあるんですね。リハ職は慎重な方が多いのかもしれません。
ライバルが早く動き出す以上、早めに活動をスタートさせる必要があります。どんなに遅くても半年前には動きすのが良いでしょう。
時間をかけて転職活動した人の方が離職率も低い
早めに転職活動を始めるメリットは他にもあります。
じっくりと時間をかけて転職活動した人のほうが「入職後の離職率も低い」傾向にあるようです。しっかりと複数社を比較検討できるから、当然とも言えます。
目標が曖昧ならプロに相談しとくべき
実際に転職活動を始めてみると、目標が曖昧なことに気づく人もいます。
「自分が将来的にどうなりたいのか?」
「希望の転職先に入れば、理想は叶うのか?」
そんな、転職の根本から考える必要がある場合、一度は転職エージェントに相談するのがおすすめ。
リハ専門のエージェントは、業界のことに詳しく、転職先について思いもよらぬ別案を出してくれるからです。求職者は利用も無料なので、早めに相談だけでもしておきましょう。
※下記の別記事で、利用者の口コミなども解説しています。
リハ専門の転職エージェント比較表
エージェント | ||||||
公開リハ求人数 | 約3万9,500件 | 約4万3,000件 | ー | ー | 約2万件 | ー |
非公開求人 | あり | あり | あり | あり | あり(非公開) | あり(非公開) |
対応エリア | 全国 | 全国 | 関東・関西 | 全国 | 全国 | 全国 |
特徴 | リハ専門で2008年スタートの老舗 | 求人数が多いリハ専エージェント | 2020年に始まったばかりの新サービス | リハ専門ではなくコメディカル特化。幅広いパイプがある | 介護領域に幅広く展開している。リハ求人数は少なめ | 介護領域に特化したエージェント。リハ求人もあり。 |
おすすめポイント | 歴史が長い。年間1万人以上が利用 | POS各職に専門のアドバイザーがいる | 実は母体が大手人材派遣。狙い目 | 新卒・就職浪人&資格浪人者のサポート実績も多数あり | 転職後のアンケート回答で報酬が貰える | 電話、LINEで対応可能 |
公式サイト | PTOT人材バンク | マイナビコメディカル | 介護JJ
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リハ転職サイトの選び方については別記事で詳しく解説しています
2024年からの数年はやはりPTにとって重要な転職時期!
今回は、理学療法士の転職トレンドなどについて解説しました。
今後の展開を考えると、もしかしたら今後の数年は「PTが有利に転職できる最後の期間」になるかもしれません。
正直なところ、職業としての優位性は下がってきています。やはり人員の飽和が大きいです。
でも、これからの理学療法士には、病院等に勤める意外にもいろんな可能性があります。今のうちから、職場に依存しない為の体制を整えておきたいですね。
ブログ「リハノミライ」では、リハ職の働き方について発信中です。記事が参考になると嬉しいです。
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