
PTって、職場辞める人多いよね…
今回の記事はPTが仕事を辞めたいと思う理由について解説。
実際の離職率についても詳しく掘り下げていきます。
理学療法士というと、国家資格の安定した仕事というイメージがあるかもしれません。でも、実は多くの理学療法士が「職を変える」ことを経験しています。逆に「最初に入った職場で、定年まで働く」という人の方が珍しい位です。
そのためPTは「離職率」も高い職業になります。ただ、ひとくちに離職率が高いといっても、そこには悪い側面もあれば良い側面もあります。
そこで今回は「PTが仕事を辞めたくなる理由」や「理学療法士が離職しやすい理由」についてみていきましょう。
理学療法士が仕事を辞めたいと思う理由


まず、理学療法士が離職を仕事を辞めたいと思う理由について掘り下げていきましょう。
結婚・出産など生活スタイルの変化
多くの人が直面するのが、結婚や出産といった人生の大きなイベントです。
特に、子供が生まれると職務と育児の両立が難しくなることも少なくありません。職場での長時間労働が常態化している場合、家庭とのバランスを考慮した上で、離職を選択する理学療法士も多くいます。



実際「子供との時間が確保できない」という理由で転職した友人がいます
キャリアアップ目的での転職
さらなるキャリアアップを目指して転職を考える人も多いです。これはポジティブな理由ですね。
「年収アップ」や「専門性を高めたい」と考えている人が「現在の職場では成長が望めない」と感じることが離職のきっかけとなります。
なかには新卒で就職する段階で「最初は病院で臨床経験を積んで、その後で生活期に転職するつもり」というように、辞める前提で入職するひともいます。



ちなみに年収アップが目的の場合「訪問看護ステーション」へと転職する人が多いです。


職場の人間関係への不満
どの職場にも言えることですが、人間関係の問題は職員のモチベーションに大きく影響します。
理学療法士が働く職場では、特に密接なチームワークが求められます。そのため、人間関係のストレスは業務全てに影響をおぼします。仕事の内容自体よりも、人間関係で離職を選ぶ方も多いでしょう。



さらにPTは「職場恋愛」の比率が高いです。そういった観点からも「人間関係のもつれ」が生まれやすい職種と言えるでしょう。
メンタル・体調不良での離職
PTとして働くなかで、メンタルや体調に不調をきたして離職する人は一定数います。
PTが不調になる理由
- 仕事が忙し過ぎる
- 上司からのパワハラ
- 仕事へのプレッシャー
- 仕事による怪我
- 体力的な限界
これはどの業種でも起こり得ることではあります。だたPTの仕事における「患者の人生を左右する」プレッシャーはなかなか特殊なものです。責任感がある人が多く、厳しすぎる上司も一定数いる業界。熱い指導はパワハラと紙一重な部分もあります。
また、重介護での歩行訓練などを始め、PT側の体に負担がかかる業務もあります。なかには物理的な怪我により、現場を離れることになる人もいます。



友人PTは、椎間板ヘルニアが悪化して臨床では働けなくなりましたね
経験キャリア・性別でみる辞めたい理由


理学療法士が仕事を辞めるには様々な理由がありますが、年齢や経験年数ごとに見るとさらに特徴があります。
若手からベテラン、男女別で見てみましょう。
若手理学療法士の辞めたい理由
若手理学療法士の離職には「理想と現実のギャップ」に関連する理由が多いです。
- 思っていた仕事内容じゃなかった
- 先輩の給料を聞いて愕然とした
- 職場の上司が尊敬できない
実際に働き出しからのギャップに耐えきれず、離脱してしまうことは残念ではあります。
年収面での不満については、奨学金の返済などがある人は「理学療法士として生活できない」と感じることもあるでしょう。


中堅理学療法士の辞めたい理由
中堅理学療法士の場合、結婚や子育てなどのライフイベントが大きく関わってきます。仕事と家庭のバランスを取る中で、自ら離職を選択するケースが多いのです。
また、何年か経験を積んだ後にキャリアの停滞を感じ、スキルアップや年収アップを目的として別の職場へ移ることもあります。
ベテラン理学療法士の辞めたい理由
ベテラン理学療法士の離職理由としては「キャリアの停滞」が主です。長年勤務した結果、新たな刺激を求めて環境を変えたいと感じる人が多いでしょう。このキャリアになると、養成校の講師になるなど、教える側に回る人も多いでしょう。
さらには、年齢を考慮したライフスタイルの変更や、セカンドキャリアへの準備としての自主的な退職もあります。



脱サラして、独立したり、お店を始めるなんて人もいますよね。


男女別の辞めたい理由を比較
男女で比較してみると、特に女性理学療法士は出産や育児を理由に職場を離れるケースが目立ちます。
その一方で男性は、年収やキャリアアップの追求、職場の人間関係での不満が離職の主な動機です。



男女問わず離職者は多めですが、それぞれが抱える問題の特性や解決策には違いがありますね。
理学療法士の離職率の現状


前述の通り、理学療法士は離職率が高い職業です。ここでその実態をみていきましょう。
離職率とは、会社で働いている人のうち、一定期間で辞めた人の割合です。
例えば、「1年間で100人の従業員がいて、そのうち10人が辞めた場合、離職率は10%」となります。
理学療法士の離職率
理学療法士の離職率 | 約19% |
医療従事者の離職率 | 約15% |
一般企業の離職率 | 13~15% |
上記の一覧表のように、理学療法士の離職率は19%程度とされています。これに対して一般企業の平均は13~15%程度。やはりPTの離職率は高めです。
また、理学療法士の離職率は他の専門職と比較してもやや高い傾向にあります。この背景には、職場環境の厳しさや報酬の問題、業務の負担が大きい点などが関係しているでしょう。
※参考:厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概要」
離職率が高い理由
理学療法士の離職率が高い理由は複数ありますが、下記のような理由が主です。
- 労働条件の厳しさ
- 昇進ポストの不足
- 報酬の低さ …など
特に「労働条件の厳しさ」という面で、長時間労働などが常態化している職場があることが深刻です。PTとして「福祉の精神」があることは重要ですが、いきすぎた自己研鑽でプライベートの時間を削ることになってしまったり、生活と仕事のバランスを保つことが難しいことも。



臨床だけでなく、業務終業後に「勉強会」や「学会発表の準備」に追われている人も多いです。それが半強制的な、施設の方針だったりもします。
このような働き方に疑問を感じて、PT自体を辞めるケースは多くあります。仕事に対する情熱や使命感だけではカバーできない問題ですね。
離職が多いタイミングは?
理学療法士が離職するタイミングは、キャリアの初期段階や中間段階が多いです。
特に、職場に慣れ始めて期待と現実のギャップを強く感じ始める「3〜5年目」や、キャリアアップを考え始める「中堅クラス」での離職が目立ちます。
また、家庭を持ったタイミングで「子育てと仕事の両立」などを理由に転職をする人も多いです。
仕事を辞めたいときにはどうする?


実際に仕事を辞めたい…と思った時まずはどんな行動をとるべきでしょうか。
重要なものをピックアップして紹介します。
まずは求人を見てみる
仕事を辞める場合、多くの人はその後別の職場で就職することになると思います。なのでまずは幅広い求人に目を通すことが重要です。
「自分がやりたい分野」以外に「今人材が求められている分野」などもチェックしておくべき。例えば2024年頃からは「放課後等デイサービス」のリハビリ需要が増えています。これは制度の変更に伴う点数加算が理由です。
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転職エージェントに相談する
転職活動が初めて等の理由で不安な人は、転職エージェントへの登録もしてみるべき。リハビリ転職専門のサイトがいくつかあります。
エージェントの利用は無料なので(施設側が支払うので)、相談してみるだけでも価値があります。
リハ専門のエージェントは業界のことに詳しく、転職先について思いもよらぬ提案もしてくれます。求職者は利用も無料なので、早めに相談だけでもしておきましょう。
※下記の別記事で、利用者の口コミなども解説しています。





例えば僕はエージェントに相談して、転職先を「病院」から「訪看」へと変更しました。自分では気づけなかった選択肢で、相談してよかったと思います。
転職エージェント比較表
エージェント | ![]() ![]() | ![]() ![]() | ![]() ![]() | ![]() ![]() | ![]() ![]() | ![]() ![]() | ![]() ![]() |
公開リハ求人数 | 約4万1,200件 | 約2万1,600件 | ー | ー | ー | ー | ー |
非公開求人 | あり | あり | あり | あり | あり | あり | あり |
対応エリア | 全国 | 全国 | 全国 | 関東 | 全国 | 全国 | 全国 |
特徴 | リハ専門で2008年スタートの老舗 | 全国展開するリハ専エージェント | 2020年に始まった新しめのサービス | リハ専門で関東エリアに特化 | リハ専門ではなくコメディカル特化。幅広いパイプがある | 介護領域に幅広く展開している。リハ求人数は少なめ | 介護領域に特化したエージェント。リハ求人もあり。 |
おすすめポイント | 歴史が長い。年間1万人以上が利用 | POS各職に専門のアドバイザーがいる | 母体が大手人材派遣会社 | 対応エリア内では細かい相談ができる | 新卒・就職浪人&資格浪人者のサポート実績も多数あり | 実際に転職した人が書く職場の口コミ情報あり | 電話、LINEで対応可能 |
公式サイト | PTOT人材バンク | レバウェルリハビリ | みえるリハ
![]() ![]() | マイナビコメディカル | 介護JJ
![]() ![]() |
別の職場の知人から話を聞く
理学療法士は働く場所によって業務内容に差が出やすい仕事です。例えば、1日の単位ノルマが2〜3単位違うだけでも大違いですよね。
実際に中の人から話を聞いてみると、実は驚くほど「ホワイト」な職場もあります。その逆もしかりですが。
特に領域の違う職場の話を聞くと、かなり常識の違いを感じることがあるでしょう。もしかすると、別の領域の方が自分に合ってると思う場合もあるかもしれません。
例:病院と訪問の違い
例えば「病院」と「訪看」での常識の違いとして「直行直帰がある」というものがあります。訪問看護ステーションではそれぞれの家に行くので、最初や最後の訪問先が自宅から近い場合は事務所に立ち寄らずに直行や直帰ができるのです。ガソリン経費と移動効率を考えても、推奨されることが多いです。



家から直接現場に行ける日はかなり気分が楽です!
仕事を辞めた後はどんな選択肢がある?


PTが職場を辞めた後にはどんな選択肢があるのでしょうか。
少しハードルが高めなものも含め、いくつかの選択肢を挙げます。
別の職場でPTとして働く
職場を辞めた後「別の施設で理学療法士として働く」
これは職場を辞めたPTが選ぶ道として、もっとも多い選択肢です。職場を変えることで、より好条件で働ける可能性も高いです。



なかでも、訪問看護ステーションへの転職は年収などアップしやすいです。
ただし、PTの転職ハードルは年々上がっていると言われています。今の職場を辞めたとして、次にどこで働けそうかという目星はつけておくべきです。
理学療法士の転職は年々難しくなっている?
PTの転職は年々ハードルが上がっていると言われおり、具体的には「書類審査の段階で不採用」となるケースなどが増えています。
PTは専門的な国家資格なので、一般的な仕事と比べると「転職しやすい」ことに間違いありません。しかし最近は、すぐに転職先が決まるような状況では無くなってきているのです。
PTの転職が難しくなっているのは、人員飽和などが主な理由。これはどうしようもない、構造的な問題です。
転職をするならば、早めに行動しないと「身動きが取れなくなるリスク」もあることを頭には入れておくべきです。
リハ転職エージェント「マイナビコメディカル」の方も上記の動画で「PT転職の難しい現状」を語っています。
一般企業で働く
一般企業での職に就くPTもいます。リハビリ専門の知識やコミュニケーション能力が評価され、営業や人事や総務など、人と接する仕事に就くことも少なくありません。
また、介護用品のメーカーやスポーツクラブなど、PTとしての専門知識が評価されるような企業もあります。


PTをしながら別の仕事も掛け持ちする
理学療法士として働きながら、全く異なる分野での仕事を掛け持ちする人もいます。
例えば、パートしながら、企業、副業というような選択肢をとる方も増えています。
PTと別の仕事のかけもち例
- 訪看パートと整体院開業
- 同僚に、訪問看護ステーションでパートタイム勤務をしながら、整体院を開業しているPTさんがいます。
- 同僚に、訪問看護ステーションでパートタイム勤務をしながら、整体院を開業しているPTさんがいます。
- 訪看パートとヨガインストラクター
- こちらも同僚の方。女性PTさんです。訪問看護ステーションでパートタイム勤務をしながら、各地でヨガインストラクターとしても活動されています。
- インソール会社設立と訪看パート
- 「理学療法士監修」ということをウリにした、インソールを製造販売しているPTさんもいます。家庭がある方なので、安定した収入も絶対に必要。開業初期などは、訪看パートで生活費をまかないながら事業を拡大していったそうです。
自分で起業する
理学療法士の資格を生かして、自分のビジネスを立ち上げる人も増えています。整体院などフィットネス関連サービスの提供や健康相談業務など、理学療法士としての専門性を活かした事業を展開することが可能です。
前述のとおり、まずはPTとしてのパート勤務をしながら、ちいさく企業するという方もいます。自身のビジネスを始めることで、理学療法士としてのスキルだけでなく、経営者としての視点を獲得できる道ですね。


理学療法が仕事を辞めたい理由にはポジティブな面もある


理学療法士は、多くの人が「仕事を辞めたい」と思うタイミングもあり、やや離職率が高い職業と言われています。
ただこれは、ネガティブなことではありません。専門職としての資格があれば「どうにか別の仕事がみつかる」というようなプラスの側面もあります。
転職市場での需要が高いことや、多方面での活躍が可能なことは、理学療法士にとって大きな利点です。
長期的にみると「職場をやめてよかった」と感じる人は多く、年収アップやキャリアアップを目指して新たな一歩を踏み出しています。
これからの理学療法士には、病院等に勤める意外にもいろんな可能性があります。ブログ「リハノミライ」では、リハ職の働き方について発信中です。記事が参考になると嬉しいです。




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