PTの給料安すぎ!!!
全然昇給しないんだけど…
理学療法士のみなさんで「給料安い問題」を抱えている方、多いのではないのでしょうか。
PTの人員は飽和状態と言われ出して久しいですが、それに伴い労働環境も厳しくなってきています。
「生活がギリギリ…。」「手取り20万を超えないんだけど!」なんて人も少なくないはずです。
そんな世知辛い状況の中で「訪問看護ステーションの給料が良いらしい」 と言う噂を耳にしたことがある方も多いはず。
そこで今回は、実際に訪問看護ステーションで働いている僕が、訪看PTのぶっちゃけた年収について解説します。
先にざっとした結論です
- 給与水準は高め(年収400万位〜)
- 年収600万円越えもあり得る
- インセンティブ(成果報酬)が付く場合もある
- パート勤務でも高給与
上記の結論まとめから伝わるかもしれませんが、訪看PTは病院勤務などより給与・待遇が良い場合が多いです!
そして正直なところ、このような良い状況がいつまでも続くとは思えないのも事実なんです。
それでは早速、深掘りしていきましょう。
訪看PTの給料はぶっちゃけ幾らくらい?
PTの勤め先として、高待遇を受けやすい訪問看護ステーション。
具体的な待遇としては、年収400万〜500万以上位が相場です。
でも実は、数年前のピーク時と比べて「高待遇」は落ち着き傾向にあります。
訪問看護ステーション:求人年収の相場変化
2018年位のピーク時 | 年収450万〜500万弱での募集も多かった |
2022年 | 年収400万代前半くらいがほとんど(東京の訪問看護ステーションで) ※別途残業などは加味される場合あり |
高待遇が落ち着いてきたのは、訪問の現場に人材が増えてきたことも要因。でもそれでも、今だに病院勤務のPTよりは高めの給与水準が続いています。
ちなみに、前に僕がいた回復期病院の年収は課長クラスでようやく400万です。訪問リハの場合、一般職員で400万を超えてくるので、やはり高待遇です。
訪問リハは年収600万超えの実例もある
上記は横浜の訪問看護ステーション代表の方のツイートです。なんとリハ職の年収は620万円から。驚きの金額です。このような実例もあるので、訪問リハは給与アップ目的の転職先に有力な候補と言えます。
600万超えはさすがに驚き!
PTの最高年収は650万円程度?
調べた限り、実例のあるPT最高年収は650万円位(転職時)でした。ただし、これは「雇われPT」に限ります。
この年収は訪問看護ステーションの管理者として採用された方のものだそうですが、ここまでの金額を提示できる施設は少なそうですよね。
※コメディカル専門の転職エージェント「マイナビコメディカル」の情報を参考にしています。
訪問看護ステーションの給料が高い理由
次に、訪看PTの給料が高くなりやすい理由を解説します。
①:病院と比べ固定費が安い
訪問看護ステーションの給与が優遇されやすい理由のひとつは、固定費が小さいことです。
訪看は固定費が少ない分、社員に還元しやすいですね。
そもそも病院などでは「セラピストの待遇を上げるつもりがない」施設も多いです。
病院や施設→「大規模な固定費がかかる」
訪問看護ステーション→「アパートの1室から経営が可能」
②:訪問リハはインセンティブ制を導入している職場もある
上記の図解は、インセンティブ制度のある訪問看護ステーションの求人実例です。
訪問件数を多くこなすと、1件につき数千円など、給与に上乗せされるんです。
仕事や移動に慣れてくれば、一日の訪問件数を増やすことも可能です。そして、件数が増えるほど収入が上がる仕組み。歩合制に近いですね。
ちなみに、上記の金額は「実際の求人」から拝借したものです。訪看なら、PTでも年収500万以上が狙えます。
パートでも高時給な訪問リハ
訪看リハではパート勤務でも高単価を得やすいです。
1件の訪問(60分)で3,500円以上の報酬が貰えるステーションも割とあります(僕のとこもそうです)。
移動時間を加味しても時給換算で2,500円以上とかです。歩合制のパートで稼働しまくると、下手したら正職員より年収が高くなる可能性すらあります。
※訪問パート勤務は「マイカー稼働」が条件の場合もあります。
パート勤務のメリット・デメリットはこちらの記事で詳しく解説してます
理学療法士の給料は、日本全体の平均よりも安い
ここからは、PTの年収について解説していきます。
他の職種の年収平均などとも比べて、整理していきましょう。
最初にPTの年収について短くまとめると、「日本全体の平均よりは低くて、医療・福祉分野の中では高め」という感じです。
日本平均とリハビリ職の年収比較
日本全体の平均年収 | 436万円 |
理学療法士の平均年収 | 411万円 |
医療・福祉分野の平均年収 | 401万円 |
国税庁の発表によると、日本全体の平均年収は436万円。これに対し、リハ職の平均年収は411万円と少し低めです。
そもそも医療・福祉は給料が低めの業種
日本全体の平均年収 | 436万円 |
医療・福祉分野の平均年収 | 401万円 |
前述の年収調査は、建設業・製造業・サービス業など、14の業種に分類されています。その中で「医療・福祉」分野の年収は14業種中9位。
つまり、そもそも医療・福祉の分野の給料が平均より低めなんです。
ちなみに、医療・福祉の平均年収は401万円です。
参考:国税庁「民間給与実態統計調査結果」令和元年分
PTの年収は医療・福祉では少し高い
理学療法士の平均年収 | 411万円 |
医療・福祉分野の平均年収 | 401万円 |
厚生労働省の発表から算出すると、PTの平均年収は411万円。医療・福祉の平均よりは少しだけ高いです。
同じ分野の中では高めでよかったです。月給1万円の差は「資格手当が付く分」というイメージでしょうか。
さらには、PTの年収は「勤め先の規模」によっても差が出ます。かなり規模の大きな組織では、年収が高めの傾向です。
大きな規模の組織ではPTの年収は高め
施設の人員規模 | 年収の平均 |
---|---|
10〜99人 | 408万5000円 |
100〜999人 | 405万4700円 |
1,000人以上 | 420万6100円 |
参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和2年
理学療法士の給料はなぜ安いまま? 5つの理由を解説
ここからは「なぜ、学療法士の給料は上がらないのか?」を深掘りします。
みなさん、働くなかですでに痛感はしている事実だと思いますが、理由を整理すると以下の通りです。
PTの給料が上がらない理由5つ
- 国からの診療報酬は新人でもベテランでも同じ
- 昇進のポジションが無い
- 診療報酬は年々下がる傾向にある
- 1対1の仕事で、稼ぎに限界がある
- PTの給料を上げる気がない施設もある
①:国からの診療報酬は新人でもベテランでも同じ
どんなにウデを上げても、国から出る診療報酬は一定。これがPTの給料が上がらない最大の理由です。
実際に働くなかで、「誰が介入しても報酬は同じだからね」という話題になった人も多いと思います。
診療報酬が据え置きな限り、施設側としても給料アップは難しいですよね。
②:昇進のポジションが無い
昇進のポジションが無い。これもPTの給料が上がらない大きな理由です。
毎年ガンガン昇給していく仕事なんて、ほとんどありません。一般企業も含めて、多くの人は「役職につく」ことで収入がアップします。
だけど「リハ部」の役職って部長・課長くらいしかありません。主任クラスの手当てなんてごくわずかです。
昇進したいなら、同年代のセラピストの中で「一番の出世頭になる必要」があります。これって結構ハードです。
③:診療報酬の改定はリハ職に厳しい内容が続いている
リハビリ職の売り上げは診療報酬に依存しますが、これは国の一存で決まりますよね。
「国家資格=国に守られてる」のと同時に「国の判断には逆らえない」ということ。これもPTの給料が上がらない大きな理由ですね。
診療報酬は2年ごとに改定され、リハ報酬的には厳しい変更が続いています。
例えば2019年4月以降、算定日数を超える患者さんは「介護保険でのリハビリ」しか受けられなくなりましたよね。
「患者を早く退院させて地域に戻そう」という流れは年々強くなってます。対応する医療機関からしたら収入のやりくりが大変です。
参考:厚生労働省「令和4年度診療報酬改定について」、ソラストオンライン「ニュース解説」
過去にもあった大きな改定
例えば今でこそ「脳血管障害で180日まで」など、リハ介入には日数制限がありますが、昔は制限とかなかったんですよ(2006年から改定)。この改定は当時、現場にかなりの混乱を生みました。売り上げが大きく下がりますからね。
参考:全日本民医連「リハビリ治療に日数制限! 診療報酬改定で現場も患者も大混乱」
仮に報酬改善があっても上げ幅は少ない
2021年からの経済対策で「介護・看護分野の賃金アップ」が行われるようですが、月数千円程度にとどまります。今後リハ職も賃上げ対象になるかもしれませんが、金額は微々たるものでしょう。
参考:TBS NEWS「看護師ら月額4,000円賃上げへ」
④:1対1の仕事で、稼ぎに限界がある
理学療法は制度上、マンツーマンでのリハが基本になります。つまり「1対1のビジネス」です。
一度にひとりしか見れない仕事ですし、取得できる単位もMAX22単位。1日の稼ぎに限界があります。
当たり前ですが、ビジネス的には1日の稼ぎに限界はない方が良いです。
ラーメン屋でも席数の分だけ同時に対応できますし、ネットビジネスなら対応できる人は無限です。
参考:朝日新聞「群馬の公立病院、2千件超す診療報酬の不適切請求」
⑤:PTの給料を上げる気がない施設もある
今まで上げてきた4つの理由からわかるように、病院・施設側にPTの給料を上げる理由はほぼ無いです。
するとどうなるか。「PTの給料は上げなくいいよね!」と割り切る施設も出てきます。
例えば、管理職以外はほとんど若手で、「中堅が少ない」みたいな職場に心あたりがありませんか? それは、給与・待遇に納得いかなくなった中堅が、辞めることを容認している施設です。
中堅をたくさん抱えるよりも「安い新卒セラピスト」を使い回した方が財政的に楽なんですよね。
知人の病院などは、かなり対応がエグいです。「ある程度の経験年数になったら僻地に飛ばされる」なんて話も本当にあります。
今ならまだ、訪問PTになることで給料アップが狙える
ここまで「訪問PTのぶっちゃけた給料」などについて解説してきました。
個人的に「訪問看護ステーションで働く」ことは、もっとも堅実に給料アップを狙える方法だと思います。
しかしこの高待遇もいつまで続くか分かりません。訪問の分野に興味がある人は早めに行動するのをオススメします。
転職に不安がある人は、まず転職エージェントに相談するのもいいと思います。気になる勤め先の内情なども、担当エージェントが詳しく相談してくれます。転職で失敗したくないと言う人は必ずチェックしましょう。
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また、訪看リハへの転職に限らず、その他の方法で収入アップを目指すのも全然ありです。
- 転職で給与アップを狙う
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このブログでは、PTの給料をアップさせるためのアイデアを発信しています。
別記事でも色々解説していますので、参考にしてください。
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