今回は、訪問リハで興味がある方向けの記事です。
いきなりですが「訪問PTにもっとも重要な能力」は何か? について解説します。
訪問PTに大事な能力 = 「説明力」です
正直、訪問の分野では他にも色々な能力が必要です。でも、ひとつだけ最重要のスキルを選ぶなら、それは説明力です。5年以上、訪問看護ステーションで働いている筆者はそう思います。
もちろん、臨床的な知識や施術のウデは重要です。でも、訪問リハでは、きっちりと情報を伝達する「説明力」が低いとうまくいきません。
そこで今回は「訪問リハで説明力が大事な理由」と「説明のコツ」について解説します。
ちなみに、僕の勤務する訪問看護ステーションでも、きちっと「情報共有をできる人」が信頼を得ています。臨床の力は高くても、スタンドプレーをしがちな人は、たとえ上司でも信頼されていません。
訪問リハに「説明力」が重要な理由
ここからは、訪問リハに説明力が重要な理由を解説していきます。
利用者さんには週に1回程度しか会えない
訪問リハは、利用者さんと直接コミュニケーションを取れる時間が少ないです。基本的には「週1回60分程度」になります。
そして、限られた時間の中で利用者さんのQOLを上げるには「環境調整」や「生活動作指導」「自主訓練指導」などの説明が重要です。さらに、これらの指導は利用さんの理解と納得がないと定着しません。
PTさんから習った「起き上がりの方法」は…難しいし、いつも通りでいいや。
家族などに対する説明も重要
利用者さん本人だけでなく、家族に対しての説明も重要です。こちらも、うまく説明できないと、定着しない可能性が高いです。
PTさんの言ってた移乗方法、コツがわからないし、力任せでいいや
移乗で使うボートを勧められたけど、よくわからないから使ってない
特に「すでに家族での介護経験が長い」場合などは、間違った介助法の修正が大変。介助負担が少ない移乗方法などを指導しても、結局我流の方法に戻ることが多いです。
PTが指導する内容は、一般の方には難しいことが多いです。訪問の現場では、相手の理解度を伺いながら、上手に説明する能力が重要です。
※なかにはご家族の拘りが強く、指導の無理強いはしない方が良いパターンもあります。このへんの見極めも大事です。
スタッフ間で直接話せる時間も限られる
訪問リハはスタッフが事務所にいない時間が大半です。
基本的に看護師もリハスタッフも事務所を出払っています。また、直行&直帰をするスタッフや、その日一度も事務所に戻らないスタッフもいます。なので、情報伝達には「電話」や「文章」での情報伝達が重要です。
訪問リハでのスタッフ間情報伝達に重要な能力
- 電話で情報を伝える能力
- 文章で情報を伝える能力
わかりやすい説明のコツ5選
ここまで、訪問リハに「説明力」が大事な理由を解説してきました。
ここからは、そんな説明力をアップするためのコツを紹介します。
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説明の順番を意識する
情報伝達する際、まず伝えるべきなのは「結論」。このようなメソッドは、文章術の本などでもよく語られる、基本中の基本です。
簡単に例を紹介します。
〇〇さんの歩行評価の件です。今の段階では家庭内独歩は難しいと思います。なぜなら、日によって運動能力のムラがあります。どうやら、夜間の睡眠状態などにも左右されているようです。
〇〇さんの件です。どうやら、日によって夜間の睡眠状態に差があります。それにより、日中の運動能力にもムラがあるようです。なので、今の段階では家庭内独歩は難しいと思います。
上記の文章は内容がほとんど同じで、順番が違うだけ。パターン1の方が、結論を先に伝えています。なので、「評価結果」がすぐ伝わりますよね。このように、説明をする順番は大事です。
そして、説明の順番には色々なフォーマットがあります。例えば文章術だと、結論から先に書く「PREP法」というのが有名です。
PREP法
- P=Point(結論)
- R=Reason(理由)
- E=Example(事例、具体例)
- P=Point(結論を繰り返す)
その他にも「一番伝わる説明の順番」という本で提案されている、下記のフォーマットなどおすすめです。
- 前提をそろえる
- 結論・主張・本質
- 根拠・理由・事実
- 補足情報
- 結論・相手に促したいアクション
専門用語が伝わるか考える
専門用語が多くて、意味がわからない。これは、PTの説明がわかりにくい理由として、一番多いのではないでしょうか。
退院前のカンファなどでPTが専門用語を使いまくり、家族がポカンとしている。そんな状況を病院勤務のころに何度もみました。
端座位?
移乗?
上記のような、医療職にとっては当たり前の言葉も「専門用語」。家族からしたら「?」となりやすいポイントです。
専門用語の使用は、相手のレベルに合わせるべきで、相手が言葉を理解しているかの確認も重要です。
「例え」をうまく使う
「例え」をうまく使うのも重要です。これは、説明する内容を相手にも身近なことに置き換えるといいでしょう。
例えば「支持基底面」の説明をするときなど、飲み物のグラスでも例えられますよね。
- 底が広い「マグカップ」 → 安定する
- 底が狭い「カクテルグラス」 →不安定
写真・動画を使う
百聞は一件にしかず。写真や動画は有効的に利用しましょう。利用者さん・家族への説明だけでなく、スタッフ間の情報共有もスムーズです。
写真や動画で説明する例
- 福祉用具など、まずは実物の写真を見せる
- 実際の動作を撮影してフィードバック
最後に確認をする
わかりにくい所などありましたか?
もう一度聞きたいことはありますか?
意外とわすれがちなのが、説明の最終確認。上記のような問いかけを相手にすることで「わからなかったけど、聞きづらくて辞めた」なんてケースを減らしましょう。どの程度の情報が伝わっているかを把握する為にも、重要です。
訪問リハで働きたいPTは、説明力を磨いておこう
以上、訪問リハで働くには「説明力」が重要という話でした。
残念ながら「PTの説明はわかりにくい」という意見は、結構な頻度で耳にします。
「訪問リハ」では特に説明力が重要なので、訪問で働きたい方は、早めに説明の勉強をしておくと安心ですね。
リハは病院などよりも高収入なことが多いので、訪問への転職を考えているPTさんも多いと思います。
リハノミライではこの他にも、訪問リハに関する記事を更新しています。参考になると嬉しいです。
伝わりやすい「説明」や「文章」についての本は沢山あるので、まずは何冊か読んでみるのがおすすめです。
参考になりそうな、おすすめ本のリンクを貼っておきますね。
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