理学療法士のみなさんで「将来は独立開業をしたい!」と思っている方、年々増えている印象です。
実際、僕(ST)の周りでも、病院勤務を辞めて独立するPTさんが増えました。
近いうちに独立したい!
…でも、どんな道があるんだろう?
そこでこの記事では「理学療法士の独立・開業パターン」を実例で解説します。
全部で3パターンの紹介です
- 整体師を経営
- ストレッチ専門店を経営
- インソールの会社を作って開業
理学療法士の開業実例3つ
理学療法士の開業パターンを、実例と共に3つ紹介します。
※クリックでジャンプします
独立例①:整体院を経営する
整体院を開業するのに、資格は必要ありません。いわば、ど素人でも開業できてしまします。
PTは人体のプロ。一般人が整体院を経営するよりも遥かに有利です。
上記のYouTubeチャンネルをやっている木城さんも、35店舗もの整体店を持つ経営者。
動画でご本人が「自分は落ちこぼれPTだった」と語られています。PTのスキルと、お金を稼ぐスキルは別モノだという好例ですね。
かけもちで整体開業した知人PTの例
実は、僕の知人PTも整体院を開業しています。
ここで実例として紹介したいのは「掛け持ちでの開業」です。
掛け持ち開業したPTの例
- 訪問リハビリ非常勤(パート)
- 整体院の開業
いきなり全ての収入を整体院から得ようとするのは、リスクが高いですよね。なので、彼は収入を分散しました。整体院を開業しながらも、訪問看護ステーションの非常勤(パート)を掛け持ちしています。
仮に整体院がうまくいかなくても、そのまま訪看で働くという選択肢が残ります。低リスクな開業です。
独立例②:ストレッチ専門店を経営
ストレッチ店を開業するのにも、資格は必要ありません。
いつからか、街中で見かけることが増えた「ストレッチ専門店」。
理学療法士でもなんでもない、自称ストレッチ専門家でも参入できる業界です。
例えば上記の「なぁさん」という方も、プロフなど見る限り「体の専門家」としての資格を保持している訳ではありません。それでも、ストレッチ専門店「Nストレッチ」などを経営されています。
さらには5冊以上の書籍を発表してますし、完全に経営者として独立できていますね。
SNSなど「発信」の戦略もカギとなりますが、「ストレッチ専門店」もPTが参入がしやすい業界ですね。増えているのも納得です。
独立例③:インソール事業を経営
知人PTの開業例を紹介します。
病院PTを退職し、インソール会社で独立したNさんの例です。
「靴の中敷き」ことインソール。姿勢調整のために「医師やスポーツトレーナーが監修しました」という商品もかなり増えていますよね。
インソール業界で独立するために、Nさんがとった戦略は完全オーダーメイド対応。
実際にその人の足形をとりに赴き、さらにはインソール作成後の歩き方指導なども行います。
商品は高額になりますが、そのぶん富裕層の集客が望めます。この「1人あたりの単価」を上げるだとか「資金に余裕がある層を狙う」というのは、弱者が経営する際の鉄板戦略ですね。
「1対1のやりとりで、コツコツ積み上げていく」方法は「弱者のランチェスター戦略」などとも呼ばれます。
ぶっちゃけた年収などは聞いていないのですが、Nさんは独立してマイホームも買っています。
「大変だけど、病院勤務時代よりはしっかり稼いでいる」とだけは言っていました。
確認:理学療法士という資格自体には開業権はない
ここで、「理学療法士」という資格には開業権がないことを確認しておきます。
正直、「開業できる」「できない」を始め、PTの開業は人によって捉え方が違う部分もあります。
PT単独で「理学療法」は行えない
まず大前提として、理学療法士が単独で「理学療法」を提供することはできません。
「理学療法」とは、医師の指示の元で行うものです。
このへんを、表にまとめまると以下の通りです。
PTができること | 医師の指示がある | 医師の指示がない |
---|---|---|
理学療法を行う | ○ | × |
身体障害者への介入 | ○ | × |
介護予防指導を行う | ○ | ○ |
「理学療法士」と名乗る | ○ | ○(予防分野に限る?) |
保険下の理学療法は、あくまで医師の診療の補助です。つまり「理学療法」を提供するには「医師の指示」が必要です。
専門的な「理学療法」と「医師の指示」はセットということです。
「理学療法」を行う際は、当然「理学療法士」と名乗って大丈夫です。
じゃあ、ドクターからの指示がない場合は「理学療法士」と名乗れないの?
以前は、医師の指示がない状況で「理学療法士」という肩書きを使うことは、グレーな状態でした。
介護予防事業では「理学療法士」と名乗ってOKに
医師の指示が無くても、「介護予防事業」においては「理学療法士という名称を使ってよい」という点です。
逆にいうと、医師の指示がない場合、介護予防事業以外で「理学療法士」と名乗るのはグレーなままということ。
例えば、インソール事業で独立する際も「理学療法士が作るインソールです!」とはプッシュしづらい面があります。
「インソールの会社をやっています。ちなみに、私は理学療法士で専門的な知識があります」というようなスタンスが、現時点ではちょうど良い落とし所と言えます。
介護予防事業(例)
健康サロン、体操教室、フレイル予防などの講座運営など
参考:厚生労働省「理学療法士の名称の使用等について(通知)」
理学療法士の保険下での開業権は、今後認められるのか?
将来的に理学療法士の保険下での開業権は認められるのでしょうか?
いつか制度が変わってmドクターの指示なく理学療法を提供できたらいいですよね。
ですが、答えとしては「なかなか難しそう…」というのが現状です。
2019年、四病協は以下の見解を述べています。
「理学療法士(PT)などリハビリ専門職が、医療保険によるリハビリテーションを提供するため、独立して開業するのは望ましくないとの認識で一致」
引用:全病日ニュース(8P目)
訪問リハ事業に関しても「訪問看護ステーションでリハ対応できてるじゃん」というような見解。
病院のお医者さん達は、PTの独立にかなり否定的のご様子です。
まずは転職してみて年収アップ&視野を広げるのもあり
開業や独立をしたがっているPTは多いですが、なかなかハードルが高いですよね。
そういう場合は、まず転職をしてみるのもアリ。
特にオススメなのは「訪問看護ステーション」で働くことです。
- 給与水準が高め
- パート勤務に移行も可能
- 週休3日制など導入している所も
- 病院勤務では学べないスキルが身に付く
訪問看護ステーションは、パート勤務でも時給が高いケースが多いです。なので、訪看勤務の経験がある人は、開業をする際に「パート勤務+開業」という二刀流スタイルに移行しやすくなります。
「週3日は訪看パート」で働いて、残りは「自分の事業」というような時間配分が可能なんですね。訪看の経験があると、いきなり事業に全フリするリスクを軽減できます。
転職に不安があるならエージェント登録がおすすめ
また、転職活動の進め方に不安がある人は「転職エージェント」を利用するのもおすすめ。
「転職活動の進め方」をはじめ、エージェントにはなんでも相談してオッケーです。
新卒の就活と違って、「転職活動の正しい進め方」って学ぶ機会がありません。例えば「退職の申告ってどのタイミングがいいんだろう?」とかも、ちょっと曖昧だったりしますよね。
確かに、退職の意思表示ってタイミングが難しい…
転職活動で不安なポイントをエージェントに相談すれば、転職の失敗リスクを減らすことができます。
※ちなみに「退職の申告」は次の職場の内定が出てからがオススメです。内定をもらう前に退職を申告してしまうと、最悪は「次の職がない」状態になるからです。
こちらの記事で、リハ専門転エージェントの選び方を解説しています。
理学療法士で独立したい人は、実例を参考にしてプランを練ろう
以上、理学療法士の独立・開業について解説しました。
結論をまとめると以下の通りです
おすすめの開業スタイル | 「PT非常勤勤務」と「開業」を掛け持ち |
おすすめの勤務先 | 訪問看護ステーション(高時給) |
PTの開業例 | 整体院、ストレッチ専門店、インソール事業、など |
すでに独立しているPTはたくさんいます。実例を参考に、プランを練りましょう。
最もおすすめなのは、訪問看護ステーション等で非常勤(パート)勤務をしながら、同時に開業もすることです。完全に食いっぱぐれる可能性が低い方法なので、安心感があります。
以上、この記事が参考になると嬉しいです。
コメント