高齢者の親の介護をする中で、「薬を飲んでくれない」「どうにかして薬を飲ませたい」と悩む人はいるでしょう。
薬を飲んでくれないから、ご飯の中に混ぜちゃおうかしら…
なかなか薬を飲んでもらえないとき、ご飯に薬を混ぜようと考える人もいるかもしれませんが、おすすめできません。正しい薬の飲み方としては、やはり「水」や「ぬるま湯」で飲むのが基本。
この記事では、服薬ゼリーの使い方や高齢者でも飲みやすい薬の飲み方について、言語聴覚士の視点から詳しく解説します。
高齢者が薬を飲もうとしない理由
そもそも、高齢者が薬を飲みたがらない理由にはどんなものがあるのでしょうか?
高齢者が薬を飲みたがらない理由
- 副作用を心配している
- 症状の自覚がない
- 効果に疑問を感じている
- 長期間服用することに不安がある
- 服用を続ける重要性が理解できていない
- 味や剤型、嚥下困難などで飲みたくても飲めない
いろいろな理由がありますが、大きくわけると「薬の必要性を感じていない」のか「飲みにくくて飲みづらい」のどちらかになりますね。
「薬をごはんに混ぜる」と、気づかないように服薬させられるので、一見どちらの問題も解決するように思えます。しかし、やはりおすすめ出来ない方法です。
高齢者のごはんに薬を混ぜていいの?
薬を食事に混ぜることは、基本的には避けるべきです。
なぜなら、食事に薬を混ぜることで薬剤の効果が減少したり、副作用が増加するリスクがあるからです。
薬は水やぬるま湯で飲むのが良い
では、薬の正しく服用方法について確認しましょう。
まず、薬は「水」や「ぬるま湯」で飲むことが大前提です。水分と共に薬を摂取することで、消化器官での溶解が適切に行われ、体内への吸収がスムーズになります。
栄養成分と薬の組み合わせは複雑で、例えばグレープフルージュースと一緒に飲んではいけない薬などもあります。薬剤に影響がでにくいもので飲むことが好ましいのです。
せめてご飯ではなく、プリンやゼリーを使う
もし薬を直接飲むことが難しい場合は、ご飯に混ぜるより、せめてプリンやゼリーなどの柔らかい食べ物と一緒に服用するほうがまだ良いと言えます。
錠剤などは、砕いてごはんにまぜるなど、形を変えるだけでも利き方に変化が出てしまいます。なので、変に砕いたりはぜずにゼリーやプリンなどといった食材で包むように飲む方が良いです。
ただし、医師や薬剤師に相談し、特定の薬が食品と共に服用しても良いか確認することが重要です。
専用の服薬ゼリーがおすすめ
薬を飲みやすくする為におすすめなのは「服薬ゼリー」です。
「らくらく服薬ゼリー」が有名ですね。
服薬ゼリーは薬の飲み込みを手助けする優れたアイテム。特に高齢者や嚥下(えんげ)能力が低下している方に適しています。
ゼリーの滑らかな質感が薬を包み込み、喉を通過しやすくします。また、ゼリーの味はレモン味で、高齢者の唾液分泌を促す狙いもあります。
また、これら服薬専用のゼリーは薬の効果に影響が出ないような成分で作られています。
服薬ゼリーの使いかたなどは別記事で詳しく解説しています
オブラートの使用も良い
先に服薬ゼリーの紹介をしましたが、そもそもあれは「ゼリー状のオブラート」という商品です。
なので、もちろん通常のオブラートを使うのも良い方法です。特に顆粒の漢方などは、ゼリーよりも袋タイプのオブラートの方が飲みやすい場合が多いでしょう。
一般的に、服薬ゼリーよりもオブラートの方が、かかる金額が安いのも良いところです。
とろみ水の使用でも飲みやすくはなる
飲み込みに不安があって、水分を飲むときに「とろみ剤」を使用している場合は、とろみを付けた水で服薬をすることで飲み込みがスムーズになるかもしれません。
ただし、とろみの濃度によっては、薬剤がお腹のなかで溶け出す時間が変わってしまうなのど影響が予想されます。事前にドクターや薬剤師さんに相談しましょう。
高齢者の薬をご飯にまぜるのは良くない
高齢者のご飯に薬を混ぜて飲むことについて、重要なポイントをおさらいしましょう。
まず、薬の正しい飲み方としては「水」や「ぬるま湯」で飲むのが基本。飲み込みが苦手な人には服薬ゼリーを使うのが便利です。
ご飯にまぜてしまうと、薬剤の効果が十分に発揮されない可能性がありますので、ご注意を。
最近は、一般的なドラッグストアでも服薬ゼリーの取り扱いがあります。まずはドラッグストアを覗いてみましょう。